東京都武蔵村山市立雷塚小学校 かつおぶし削り体験・オンライン授業レポート
※担当の先生からのレポートです。
本校では、かつお節を題材に、児童・保護者・教師がともに学び、食文化を未来へつなぐかつお節削り体験学習に取り組みました。
かつお節は、和食に欠かせないだしの素材です。しかし、児童にとっては「おにぎりやお好み焼きにかかっているもの」「だしの味のもと」として知っていても、どのように作られどれほどの時間と手間がかけられているのかを知る機会は多くありません。また、家庭でだしを取る経験や和食文化について親子で話す機会も以前より少なくなっているのではないでしょうか。
そこで本校では、児童がかつお節に関心をもち、保護者が家庭での食や和食文化を見つめ直し、教師が食育の意義を発信することを大切にして本プロジェクトを実施しました。学校だけで学習を完結させるのではなく、家庭や地域ともつながりながら学びを深めることに取り組みました。実践の模様をレポートいたします。

かつお節ができるまでを学ぶ
はじめに、テキストや動画教材、オンライン学習を通してかつお節ができるまでの工程を学びました。かつおをさばき、煮熟し、骨を取り除き、何度も焙乾を繰り返すことなどを知った児童は、普段目にしているかつお節の向こう側に、多くの人の技術と努力があることに気付きました。児童からは 「かつお節になるまでに、たくさんの時間がかかることが分かった」 「作っている人はすごいと思った」などの感想が聞かれました。
また、食材を大切に使うこと、伝統的な食文化を受け継ぐこと、地域や産業を支える人々の思いを知ることは、持続可能な社会について考えることにもつながります。
児童は、かつお節を単なる食品としてではなく、自然の恵みと人の手によって育まれてきた文化として捉え始めていました。

五感を使ったかつお節削り体験
学習の中心となったのは、実際にかつお節を削る体験です。
当日は数名の保護者ボランティアの皆様にもご協力いただき、児童の安全を見守りながら活動を支えていただきました。
初めて削り器やかつお節に触れる児童は、その硬さに驚いていました。削り器の使い方や安全な姿勢を確かめ、一人ずつ慎重に挑戦しました。
「思ったより力がいる」「薄く削るのが難しい」「なかなか削れない」と苦戦する場面もありましたが、何度も試すうちに少しずつコツをつかんでいきました。
引き出しの中に削りたてのかつお節がたまると、「ふわふわしている」「いいにおいがする」と、あちこちから歓声が上がりました。製品として袋に入ったかつお節を見るだけでは得られない、香り、手触り、音、色合いを、五感を通して味わうことができました。また、友達が削るときに削り器を支えたり、上手にできた児童が削り方のコツを伝えたりする姿も見られました。
体験を通じて、かつお節づくりの大変さだけでなく、互いに支え合いながら学ぶことのよさも感じることができました。
だしのうま味を味わう
削りたてのかつお節は、みそ湯の飲み比べにも使用しました。だしが入ったみそ湯と、入っていないみそ湯を飲み比べることで、児童はだしの役割を自分の舌で確かめました。「だしが入っている方が、味が深い」 「香りが全然違う」 「同じみそでも、だしがあるとおいしい」 「少ない調味料でもおいしく感じた」といった感想が聞かれました。
言葉で「うま味」や「だしの大切さ」を説明するだけでなく、実際に味わって違いを感じることで、児童の理解はより確かなものになりました。だしは、素材の味を生かし、和食の味わいを支える大切な存在です。今回の体験は、日頃の食事を改めて見つめる機会にもなりました。
保護者懇談会で広がる学び
本プロジェクトでは、児童の体験に加えて、保護者との学び合いも大切にしました。削り体験への保護者ボランティアの参加後、保護者懇談会を開催し、「発酵食品と子供の成長」をテーマに、食生活や和食文化について共有しました。
懇談会では、発酵食品やだしを日々の食事に取り入れること、食卓で季節や食材について会話すること、家庭で子供と一緒に食に触れることの大切さを考えました。学校での学びを家庭へつなげることで、児童にとっても、体験が一回限りの思い出ではなく、生活の中で生きる学びとなります。
児童が「かつお節ってすごい」「だしはおいしい」と感じること。保護者が「家庭でもだしや和食を取り入れてみよう」と思うこと。教師が、食を通して子供たちの心と体の成長を支える意義を伝えること。この三つの柱がつながることで、かつお節や和食文化を大切にする心は、より確かに育まれていくと考えます。

未来へつなぐ食文化だし
今回の取組を通して、児童はかつお節の製造工程、作り手の思い、削ることの難しさ、だしのおいしさを学びました。保護者の皆様には、ボランティアや懇談会を通して、学校の食育に関わっていただきました。そして教師にとっても、児童と保護者の双方に食育の価値を発信し、家庭と連携する大切さを改めて実感する機会となりました。
かつお節は、長い年月をかけて受け継がれてきた日本の食文化です。その価値を未来へつなぐためには、子供たちが興味をもち、家庭で食の話題が生まれ、学校が学びの場としてそのつながりを支えることが重要です。
本校ではこれからも、児童・保護者・教師がともに学ぶ食育を大切にしながら、豊かな食文化を次世代へつなぐ取組を進めていきます。
【東京都武蔵村山市立雷塚小学校様公式サイト】
※2026年7月27日かつおぶし食育研究会教師向けオンラインイベントでは、松嵜先生に講師をしていただきました。
【講義内容:発酵食品と子供の成長 (松嵜優太先生)】
京都大学の研究など、根拠を示して頂きながらのお話は、かつおぶしやかつおだしの効果や可能性、児童・生徒さん方への食育、また、参加者(教師)にとっても、大変役立つ貴重な情報をお聞きすることができました。
★画像は松嵜先生が書かれた学習会のグラフィックレコーディングです。




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