長野県茅野市立長峰中学校様では、2024年11月6日~8日に、未来につなぐ和食~世界に誇る伝統食「かつお節のすばらしさ」をテーマに2年生4クラスで家庭科授業を行いました。
この授業は中学校学習指導要領「B衣食住生活 (3)日常食の調理と地域の食文化」の学習の一環で、「(エ)地域の食文化について理解し,地域の食材を用いた和食の調理が適切にできること。」を目指しています。本時のねらいは、地域又は季節の食材を用いることの意義について理解すること、小学校で学習しただしの役割を踏まえ,だしの種類や料理に適しただしの取り方に気付くことができることで、日々、学校給食にも関わっている栄養教諭の協力の下に行いました。以下に、実践の模様をレポートいたします.
※栄養教諭の先生が用意した、給食で実際に使っているこんぶ、かつおぶし、煮干し
かつおぶしテキストと栄養教諭の先生が用意された資料を使って、「和食」と「だし」について学習しました。
≪生徒の学びから≫
・和食には旬の食材を使うことが多いので、季節の味を楽しんでいきたい。和食には、だしを生かしたうまみがある。こんぶや煮干し、かつおぶしの香りや味を味わって楽しみたい。
・給食は)わざわざ2つの材料を使ってだしを作っていると知り、すごいなと思った。汁1杯分のかつおぶしの量が意外にも多くて驚いた。(約400人分でかつおぶし1.2㎏)
・うまみは日本人が見つけたということを聞いて驚いた。和食にはいいところがたくさんあって、日本の文化としても和食を食べることは大切なんだなと思った。これからは、だしが何からとられているのかなどを考えながら、給食を食べたい。
・今まで和食よりも洋食の方が好きだったけど、和食にはいろいろなよさがあることを知った。和食を食べるときは、うまみをしっかりと感じながら食べたいと思った。
かつおぶし削り器を使って、かつおぶしを削ることに挑戦しました。初めて経験するという生徒も多く、最初は戸惑いながらも楽しそうに削っていました。中には、1人で1本削っていた生徒もいました。
≪生徒の学びから≫
・始めやったときはごりごり音がして、あまり削れている気がしなかった。けど、慣れてくるとシャリッシャリッと音がするようになったらうまく削れていた。かつおぶしの枯れ節は思っていた以上に硬くてびっくりした。うまく削れると大きいのができるけど、失敗すると細かいのが削れた。
・かたく重くて、持ちながら削るのが思っていたより大変だった。削っているとかつおぶしのいい香りがしてきた。
・かつおぶしは宝石のように、本当に硬いということがわかった。削る前でもかつおぶしのようなにおいがして、驚いた。削ってみると、最初は難しく、削れているかわからなかったけど、何回かやると、時々いい音で削れるようになった。思った以上にかたくて、削れているのかわからないくらいで、こんなに削るのが大変だということを知れた。かつおぶしのパックのありがたみがわかりました。大変だったけど楽しかったです。
・すごくかつおぶしがかたかったので、削れているかわからなかったけど、やっていくにつれて、太くて長いかつおぶしが箱の中にいっぱいに作ることができた。削っていくと、赤色の部分と薄茶色の部分があることに気づいた。赤色の部分はとてもおいしかった。
自分たちで削ったかつおぶしを使って、すまし汁を作りました。そしてこんぶだけでだしをとったすまし汁と、色や香り、味を比較した後、2つをまぜ合わせました。一番だしのすまし汁の完成です。
≪生徒の学びから≫
・こんぶだしは、ほんのりした味。かつおぶしはかなり味が濃かった。だし汁を出した後のこんぶは何にも味がしない。こんぶだしとかつおぶしを2つ合わせて飲むと、とってもおいしかった。2つを合わせなくても、野菜などを入れればかなりおいしいのですが、どうしてでしょう?これからは、2つ合わせてみそ汁を作るようにしたいです。
・かつおぶしは味が濃かった。こんぶの方が味が薄く、少しこんぶのにおいがした。2つのだしを混ぜたときが1番ちょうどよくておいしくなった。びっくりした。こんぶだしを作るときに早く70度まで熱してしまい、上手にだしが取れなかった。かつおぶしは水の量が足りなかった。だしをとるときは、いろいろな所に気をつけてとれば、おいしい、日本ならではのだしがとれるのではないかと思った。なぜかつおぶしのだしとこんぶのだしを合わせるとおいしくなるのか不思議だった。
・こんぶだしは、優しい味でほのかにこんぶの香りがした。かつおぶしのだしは、ちゃんとかつおぶしを感じた。ちゃんとかつおぶしの味が染み出ていて、感動した。ちゃんと、そのものの材料からとっただしはおいしいと思った。
・かつおぶしがめっちゃおいしかった。こんぶだしは意外とおいしかったけど、後味にびっくりした。2つを混ぜるとこんぶの後味がなくなって、とてもおいしかった。かつおぶしだしは、めっちゃおいしかった。
・こんぶとかつおぶしのだしが合わさって、とても濃厚でおいしかったです。漬物とご飯があると、さらにおいしいと思いました。わたしたちが飲んでいるだしは、いろいろな手間をかけて出来ているのだと知りました。だしにはいろいろな種類があり、それぞれににおいや味などが違うとわかりました。まただしを作り、自分で汁を作ってみたいです。とてもよい経験でした。
・こんぶとかつおぶしのだしをあわせると、2つがけんかする訳ではなく、2つのだしのいいところが生きた汁となった。家では毎朝、みそ汁が出るが、かつおやこんぶなどのような本格的なだしから作っている訳ではないため、今日の授業では、いつもとかなり香りや味が違う汁だというのを感じ、だし特有の味や香りを楽しむことができた。
・だしの種類や味、香りを知ることができてよかった。かつおぶしのことを知れてよかった。かつおぶしとこぶだしを混ぜたことによって、さらにうまみが増した。いつも食べているすまし汁とは少し味が薄かったけれど、その分、うまみをしっかり感じ取れてよかった。
・だしから作って飲んだので、いつもよりおいしく感じた。あんなに味の濃く出ただしを飲んだことがなかったので、この機会を通して飲むことができてよかった。かつおぶしを削ったり、こんぶだしをとるときの温度調節だったり、おいしいだしをとるのは大変だったから、これからはもっと感謝して食べていきたいです。
【子どもたちの様子】
栄養教諭の先生から、うまみを発見したのは日本人でノーベル賞も受賞していることや、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されている理由、給食ではかつおぶしやこんぶ、煮干しなどを使ってだしをとって調理していることなどを伺い、生徒たちはとても驚いていました。
かつおぶし削り体験では、かつおぶしの枯れ節も、かつおぶし削り器も見たことがないという生徒が多く、「初めての体験でとても楽しかった。もっとやりたい」と口々に言っていました。
生徒の中から、自分の削ったものを「食べてみたい」と言う声が多くあがり、削りたてを食べてみた生徒からは、「いいにおい!おいしい!ご飯にかけて食べたい!」といった声が次々にあがりました。
まただしについては、小学校で、だしの入ってないみそ汁と入っているみそ汁を比較して飲んだことがあるという生徒が多かったことから、中学校ではすまし汁にして、こんぶだしや混合だしとの比較をしてみたところ、生徒たちから、かつおぶしの味や香り、風味のよさを指摘する声があちらこちらから上がりました。またこんぶだしと合わさることで、もっと味に深みが出て、おいしさが増すことに気づき、これが日本の、和食のおいしさだと生徒は実感を伴って理解できました。
なお本時の学習は、「だしと地域又は季節の食材を用いた煮物又は汁物の調理」につながるもので、和食とだしについてさらに学習を深めていきます。
【茅野市立長峰中学校様公式サイト】
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